研究紹介

ICN (Information-Centric Networking)

皆さんがご存知のようにインターネットは IP アドレスを使って通信しています。
しかし実際にインターネットを使う場合に IP アドレスを意識することはあるでしょうか? おそらく、ほとんどの人がないかと思います。例えば YouTube の動画を視聴する場合を考えてもそうですが、我々が興味あるのは YouTube のサーバの場所(IP アドレス)ではなく、YouTube が提供している動画(コンテンツ)そのものだからです。
ICN はこのような「インターネットの構造と実際の利用形態の乖離」を解消する新世代ネットワークアーキテクチャであり、急増するコンテンツを効率よく扱うために考案されました。
そのため ICN は「コンテンツ指向」という考え方を据えており、経路情報として IP アドレスではなくコンテンツの名前を使います。つまり ICN では、YouTube の動画を見るために
「www.youtube.com を DNS で解決して IP アドレスを取得して YouTube にアクセスして 動画の ID を渡して…」というような複雑な過程を辿らなくても、例えば「youtube/sport.mp4」を名前とするコンテンツ要求をインターネットに投げるだけで、目的の動画をシンプルに取得することが可能となるのです。
さらに、ICN ではコンテンツ名を用いることで多くの利点を自然に実現しています。そもそも IP では、ルータは「今、どんなコンテンツを通信しているか」基本的に知ることができません。というのも、IP アドレスを見てもそのパケットがどんなコンテンツか分からないからです。
しかしながら ICN では、コンテンツ名を見るだけでコンテンツの内容を知ることができ、さらに同じコンテンツ名であれば同じコンテンツであると見なすことができます。
そのため、例えばルータでコンテンツをキャッシュしておいて、同じコンテンツ名の要求を受け取った時にそのキャッシュを返送する等の通信の効率化が可能になるのです。
そしてこれはあくまで一例であり、他にもマルチキャスト機能やモビリティ、セキュリティの高さなど、多くの利点があります。我々は通信の未来を考え、この ICN の実現に向けて日々研究を進めています。

5G-Edge Computing

4G(LTE)の次の世代である「5G」の時代になると、IoTの進展で多くの端末がインターネットへ接続されるようになると考えられています。さらに、リアルタイム性の要求されるセンサーやカメラなどの端末やVR・AR・MRなどのサービスの増加も想定されます。このような要件を満たすため、5Gは「多接続」「高速・大容量」「低遅延」が特徴となります。これを可能にする技術の一つがエッジコンピューティングです。エッジコンピューティングは、クラウドコンピューティングに加わる形で導入が期待されている新たな情報処理形態です。従来型のクラウドコンピューティングでは、ユーザから遠く離れたデータセンタで情報処理を行っていますが、今後、端末数やリアルタイム性の要求されるサービスの増加によって、データセンタへの負荷集中や地理的な要因で発生する遅延が顕著化することが懸念されています。そこで、エッジコンピューティングでは、携帯電話基地局などのユーザに近い場所にエッジサーバと呼ばれる新たな処理拠点を設け、そこで一部の処理を行い応答性の向上を期待しています。また、エッジコンピューティングでは、情報処理機能を仮想化しエッジサーバ上に展開します。そのため。負荷に応じて動的な資源増強や実行場所の移行を実施することで、サービスをより柔軟に提供することが考えられています。

5G-Edge Computing

MR (Mixed Reality: 複合現実)

近年発展している技術の一つに、MR (Mixed Reality: 複合現実) があります。MR は現実世界に仮想世界を重ねて新しい世界を表現する技術で、臨場感のある体験を提供することができます。MRを用いたサービスにはオフラインのものも多いですが、今後はネットワークに接続するものが数多く登場すると考えられます。
 ネットワークに接続する MR アプリケーションの例として、MR ヘッドセットを装着したユーザが、遠隔地のショッピングモールに設置したロボットとライブストリーミングやジェスチャーにより連携することで、実店舗に足を運ぶことなくショッピングモールでの買い物を体験できるサービスを実現することを目指しています。
 このようなサービスでは、ロボット視点での映像をリアルタイムで処理する必要があります。そこで、エッジコンピューティングを用いてアプリケーションの応答性を高め、ユーザの体感品質を向上させることを考えています。


MR (Mixed Reality: 複合現実)

Security of Smart Home

近年、サイバー攻撃による被害が増加しています。
サイバー攻撃は、金銭的損失や個人情報流出といった被害を引き起こします。
このようなサイバー攻撃に対する防御策は日ごとに改善されていますが、そのたびに攻撃も巧妙化し、いたちごっことなっています。
現在ネットワークには、このように巧妙化したサイバー攻撃が多く存在しており、十分な対策が必要です。

一方でネットワーク上には、IoT(Internet of Things)と呼ばれる、インターネットに接続する機器が増加しています。
IoT機器は、ネットワークに接続することで、遠隔での機器操作や、機器周辺情報の収集を可能にしています。
このような便利な機能を、少しの計算リソースで実現することから、このようなIoT機器は今後も増加すると考えられています。
しかしIoT機器は、計算リソースの節約や台数の急増による管理の困難さが原因でセキュリティ対策が不足しており、
最近は、IoT 機器もサイバー攻撃による攻撃対象となっています。
さらに、IoT 機器に対する攻撃は、従来のサイバー攻撃よりも深刻な被害を引き起こすといわれています。
例えば、ヘルス機器に対する攻撃が行われた際には、命を落とすことになります。

このような状況を解決するため、我々の研究グループではネットワークに接続する機器のセキュリティ技術を研究しています。
その一環として、家庭内のネットワークに接続するIoT機器を複数設置した「スマートホーム」のセキュリティ技術を研究しています。
家庭内ネットワークの接続部で、IoT機器やスマートフォンの通信を監視・学習することで、異常通信を検知する手法を考案しています。

Security of Smart Home